

宮島達男《カウンター・ルーム》1989-96年 ©MIYAJIMA Tatsuo, 2026
豊田市美術館は今年で開館30周年を迎えました。この節目にあたり、同館では「開館30周年記念コレクション展 VISION 星と星図」を開催し、6月から3月までの10カ月間を通してコレクションを見つめ直し、新たな息吹を吹き込みます。
第3期では、展示室1において、1980年代から2000年代にかけて、豊田市美術館の開館前後に同時代的に活動を展開し始めた作家たちの作品を紹介します。展示室2では、1997年に同室にあわせて展示収蔵され、27年ぶりの再展示となる宮島達男《カウンター・ルーム》を公開します。展示室3では今年度の新収蔵作品を既存コレクションと組み合わせて紹介し、展示室4では平川紀道が同館の過去の企画展に出品した作品を、この空間にあわせて再インストールします。そして展示室5では、同館所蔵の近代美術作品を中心に、戦後への展開も含めて紹介します。
1980年代は、情報化社会・消費社会の進展とともにアートが大きく変化した時代です。もの派以降の作家として岡乾二郎らが造形の可能性を探る一方、関西では森村泰昌、石原友明、中原浩大ら「関西ニューウェーブ」と呼ばれる作家たちが、既存のアートの枠組みを揺さぶるユーモアや、消費社会を背景に日常と接続する感覚をもつ作品を展開しました。
続く1990年代には、バブル崩壊後の社会状況のなかで、村上隆や小沢剛らが都市への介入やサブカルチャーを創造の糧とする表現を試みます。また大岩オスカールなど、閉塞しつつある社会を見つめ、自身の立脚点を作品へと転化する作家も現れました。1995年に開館した同館は、こうした同時代のリアリティを背景に、これらの作家の作品を収蔵してきました。若林奮のアシスタントを務めながら鉄の彫刻に独自の軽やかさと繊細さを見出した青木野枝への着目も、同館らしい収蔵の一端といえるでしょう。
1980年代にデジタル・カウンター作品で注目を集めた宮島達男は、最新技術を用いながら人間の生や存在という普遍的な問いを提示してきました。およそ20年後に制作された平川紀道の作品もまた、現代の技術を用いながら私たちの実存に迫ります。それは、近代国家の成立や戦争経験を経て人間存在を問い続けた近代美術の系譜とも接続するものです。
個々の作品は、それぞれが一つの星のように独自の存在でありながら、他の作品と関係し合うことで像を結び、複雑で豊かな星図を描き出します。本展を通して、豊田市美術館コレクションの多様性と、時代や場所を越えて共有される思考の連なりを体感できるでしょう。

石原友明《I. S. M. (H)》 1989 年

青木野枝《Untitled》1984 年

アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》1954 年
豊田市美術館 企画展「開館30周年記念コレクション展 VISION 星と星図 第3期 星図掘Г修譴召譴亮詑検
会期:2026年1月6日(火)〜3月15日(日)
場所:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1)
開館時間:午前10時〜午後5時30分(入場は午後5時まで)
休館日:月曜日(1月12日、2月23日は開館)
料金:一般300円[250円]、高校・大学生200円[150円]、中学生以下無料
画像クレジット:宮島達男《カウンター・ルーム》1989-96 年 ©MIYAJIMA Tatsuo, 2026
URL:https://www.museum.toyota.aichi.jp
