

ハノイを拠点とする建築スタジオ ODDO architects によって設計された展示パビリオン「T10A Pavilion」が、ベトナム・ハノイにて完成し、一般公開されました。本プロジェクトは、廃棄素材の再利用と市民参加を軸にした実験的な展示建築として計画されています。

廃棄物から建築へ ― 4万枚のプラスチック袋を再利用
ベトナムでは、年間およそ2,500万トンもの家庭ごみが発生しています。T10A Pavilion は、こうした現状に対する建築的な応答として構想されました。本パビリオンの主素材は、日常的に廃棄されている使用済みのプラスチック袋です。地域住民や多くのボランティアの協力により、40,000枚以上の袋が回収・再生され、建築素材として生まれ変わりました。

展示と学びを兼ね備えた公共パビリオン
T10A Pavilion は、建築作品を紹介する展示空間であると同時に、リサイクル素材の可能性を広く伝える教育的な場としても機能しています。来場者は空間体験を通して、サステナブルな建築や循環型デザインについて考えるきっかけを得ることができます。

ハノイの手仕事文化と現代建築の融合
デザインは、ハノイ周辺に根付く伝統工芸や、地域に見られる即興的な建築手法から着想を得ています。再生プラスチックと、ベトナムの伝統的な手漉き紙「Giấy Dó(ゾー紙)」を組み合わせ、軽量なスチールフレームによって構成されています。過去と未来、ローカルな手仕事と現代的なサステナビリティをつなぐ建築です。

子どもたちも参加した共同制作
制作過程では、現地の幼稚園に通う子どもたちが紙製ドームに絵を描くワークショップも行われました。子どもたちの自由な表現が加わることで、パビリオンは単なる建築物にとどまらず、地域とともにつくられた集合的なアート作品としての側面も備えています。

光と色が生み出すダイナミックな展示体験
パビリオンは、3つの翼状の屋根によって構成されており、それぞれ「住宅」「インテリア」「サステナビリティ」という展示テーマを象徴しています。半透明の再生プラスチック屋根は、昼間は色彩豊かな光を内部に落とし、夜にはランタンのようにやさしく街を照らします。

会期後も続く素材の循環
展示終了後、屋根に使用された再生プラスチック素材は、バッグなどの新たなプロダクトへと再利用される予定です。T10A Pavilion は、仮設建築でありながら、その後の素材循環までを含めて計画された持続可能な建築実験といえます。
T10A Pavilion は、廃棄物を「問題」ではなく「資源」として捉え直す試みであり、建築の役割そのものを問いかけるインスタレーションです。
プロジェクト概要
・プロジェクト名:T10A Pavilion
・用途:展示パビリオン/インスタレーション
・所在地:ベトナム・ハノイ
・完成年:2025年
・延床面積:320
・設計:ODDO architects
・クライアント:Kienviet.net
公式サイト:ODDO architects
