画像:展覧会メインイメージ
(映画『ホース・マネー』2014 年より)
東京都写真美術館では、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ(1959–)による、日本最大規模かつこれまでの活動の集大成となる展覧会が開催されます。コスタは、2018年にポルトのセラルヴェス美術館で開催された「Companhia(ポルトガル語で「寄り添う」「仲間」の意)」展や、2022〜2023年にかけてスペイン各地を巡回した「The Song of Pedro Costa」展などにより、映画だけでなく展覧会の形式においても国際的に高く評価されてきました。
画像:ペドロ・コスタ《少年という男、少女という女》2005 年 東京都写真美術館蔵
画像:ジェイコブ・リース〈向こう半分の人々の暮らし〉1880-1889 年 東京都写真美術館蔵
本展のタイトルは、コスタが10代の頃に出会い、深く影響を受けたスティーヴィー・ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ(Innervisions)』(1973)に由来しています。音楽を通じて社会と個人の関係に迫ろうとした同アルバムの精神は、コスタの映像制作の方法論とも深く共鳴しています。
代表作『ヴァンダの部屋』(2000)では、旧ポルトガル領アフリカ・カーボ・ヴェルデからの移民女性が暮らすリスボンのスラム街フォンタイーニャス地区の過酷な日常が描かれ、日本も2004年の劇場公開で大きな反響を呼びました。コスタの作品は、暗闇と光の強いコントラスト、静謐で緻密な画面構成により、現実の断片をすくい上げ、社会構造に鋭く切り込む表現で知られています。
本展では、アフリカ系移民の歴史に焦点を当てた『ホース・マネー』(2014)など、彼の代表的作品の登場人物ヴェントゥーラたちや、彼らが生きる場所に関連する映像に加え、東京都写真美術館の所蔵作品も紹介。コスタの映像表現とその背景にある、歴史的・社会的文脈に触れながら、「インナーヴィジョンズ」というテーマを多角的に考察する機会を提供します。
東京都写真美術館 「総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」
会期: 2025年8月28日(木)〜12月7日(日)
場所: 東京都写真美術館 地下1階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
開館時間: 10:00〜18:00(木・金は20:00まで、8/28〜9/26の木・金は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで
料金: 一般800円、学生640円、高校生・65歳以上400円
※中学生以下、障害者手帳持参者および付添2名まで無料
※第3水曜は65歳以上無料、8/28〜9/26の木・金曜17:00〜21:00は一部割引あり
その他: 月曜休館(祝休日の場合は開館、翌平日休館)
URL: http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html