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「ADF デザインアワード2023」受賞者インタビュー Part.1

今回は青山デザインフォーラム(ADF)主催の「ADFデザインアワード2023」で優秀賞(Excellent Award)を受賞された Senthil Kumar Dossさんをご紹介いたします。

1.  普段どのような領域の建築をされていますか?
私たちは、個人住宅から集合住宅、商業施設(ホテルやリゾート)、公共施設(コンベンションセンター)まで、さまざまなタイプのプロジェクトに取り組んでいる建築家です。

2.受賞作品はどのような背景で作られたのでしょうか?
私たちは、湖とその中を流れる小川を望む、生態系に非常に影響を受けやすい敷地にダイニングスペース/レストランを設計するよう、クライアントから依頼を受けました。プロジェクトの概要は、地元の文化や気候を尊重し、既存の生態系を最大限に残しながら、地元で手に入る材料を使ってユニークなデザインを提案することでした。そのデザインの結果として、私たちは、自然の力の流れに沿うように、薄い粘土瓦を何層にも重ねた、長さがあり、二重のカーブがある、カテナリー曲線を持ったティンブレルボールト(純石積み)の屋根を作り、天然石とスチールのベースフロアに浮かべました。

3.苦労した点は何でしょうか?
サクレスプールにある現場は熱帯雨林で、インド国内でも有数の多雨地帯です。雨の降らない3カ月間以内に吹き抜けを完成させるために、プロジェクトは綿密な計画が必要でした。また、水位が高く、地形が複雑な場所での作業も困難でした。ティンブレルボールト技法はインドでは比較的新しいものです。私たちはこの技法を6年ほど前から研究しており、その中で小さな構造物を作ってきました。私たちはこのプロジェクトに挑戦し、地元の人たちと現地に2ヶ月間滞在し、建設しました。この構造は、構造理論を利用して作られましたが、公式な構造解析は行われておりませんでした。

4.アワードを受賞した感想はどうでしょうか?
我々のつつましいプロジェクトをADFのような権威ある組織に評価していただき、非常に光栄に思っています。そして、このことは、多くの建築家がシンプルで真実味のある建築表現を模索するきっかけとなる社会への価値あるメッセージになったと思います。

5..あなたにとって、建築表現とは何でしょうか?
建築の表現というものは、その時代、場所、コンテクストを意味ある形で反映させる必要があります。自然や自然の形からヒントを得ることは、デザインの冗長性を排除することによって、より少ない材料消費に繋がり、持続可能性の高い建築に繋がります。

6.今後のどのような活動を展開されていきますか?
個人としては、より深いデザインの問題に挑戦し、その答えを見つけ続けることができる研究・学問に傾注していきます。また、私たちは計算や解析のための高度なソフトウェアを必要とせず、幾何学の背後にある論理を理解するのに役立つティンブレルボールト法の設計施工ワークショップを実践しております。私たちは、このプロジェクトのイデオロギーを、より大きなコミュニティのために、建築を含めたタイポロジーに応用していきたいと考えています。 また、石や木材など、鉄やコンクリートの必要性を最小限に、あるいはその必要性をほとんどなくすような他のさまざまな素材を使うことにも取り組んでいるところです。

7.ADFアワードにについてどのような感想をお持ちですか?
この賞を受賞したことで、大きな満足感と自信を得ることができました。ADFは、このプロジェクトを評価することで、トレンドに流されることなく、エコロジー、サステナビリティ、オリジナリティのあるプロジェクトをサポートするという意思を明確に表明したと思います。

8.2023年4月18日からのイタリアミラノでの受賞作品展示の見どころを教えてください。
受賞作品の展覧会を開催することは、とても良いアイデアだと思います。多くの場合、受賞したプロジェクトは忘れられてしまいますが、それを拡張し、一般に公開することで、間違いなく、さらに意味のある影響を与えることができます。建築家は、社会に大きな影響を与えるために、人々やコミュニティとつながる必要があるのです。

次の記事では最優秀賞を受賞された益⼦ ⼀彦さんをご紹介します。
乞うご期待ください。


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