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「ADF ミラノサローネデザインアワード2022」受賞者インタビュー Part.1

NPO法人青山デザインフォーラム(ADF)主催の「ADF ミラノサローネデザインアワード2022」で優秀賞を受賞した小林楓太さんとGaurav Waliさん/Yashika Munjalさんのご紹介を致します。

最初に小林楓太さんです。

1.経歴
2001年 長野県生まれ
2022年 東京都立大学(旧首都大学東京)都市環境学部建築学科 在籍

2.自身のデザインの考え、ポリシー
まだ、定まっていません。それぞれの作品や、考え方に触れるたびに「確かに」と揺らぎます。揺らぎながら、自分にとって大切なことを見つけていければと思います。その中でも、言葉は特に大切にしたいと思っています。作品名や説明文を読んだ時のその人の感じ取り方と、自分が伝えたい事との比重を考え、どちらにとっても心地よい比重で伝えることは難しく、大切なことだと思います。

3.ADFはどうして知ったか?
コンテストの情報サイトです。

4.ミラノサローネデザインアワードについてどう思うか?
年齢、国籍が不問、審査員の皆さまが多国籍、多様な解釈ができるテーマ、提案の形が自由、であることが魅力的だと思います。また、提案書の上限枚数が多く、審査期間が長いため、考えを余すことなく表現でき、それを一人一人大切に見てくれていると感じ、嬉しく思いました。この度は貴重な経験、学びのきっかけを与えてくださったことを心より感謝申し上げます。

5.今回の作品に対する思い
コンセプトは、「私たちの空間を再構築する」です。人は感覚的な生き物で、無意識に自身の身体スケールを構築し続けています。例えば、人とすれ違う時にぶつからないということはお互いの身体スケールを無意識のうちに感じ取っているから。
モノには重力が働くため、モノの下部に対しては物理的に認識できます。しかし、本質的に感じていることはモノの上部にあり、上部の何もない空気にモノの気配を感じているのではないかと思いました。
この作品は、そんな日常に溢れる無意識の感覚を、点と線の2つの要素で意識的に感じて欲しいと思い製作しました。ある点をつなぐ時は、誰かの目線になる。点が線を結び、線と線の幅が誰かにとっての心地よい幅になる。自分一人で消化しきれない感覚が、ある人を思うきっかけとなり、違った視点で世界を見られるのではと思いました。訪れた人が、破壊と構築を繰り返しながら空間をつくり、ある時の違和感やその中にある少しの心地よさを感じて欲しいという思いを込めました。

6.受賞について
ADFミラノサローネデザインアワード2022の主催者および、作品を評価してくださった4人の審査員の皆様、心より感謝申し上げます。支えてくれる人、ありがとうございます。何気ない日常を過ごしてくれる人達、色々なことを考えさせてくれる人達、考えてくれる人達。多くの人のおかげで、様々なことに気づき、形にすることができました。本当にありがとうございます。「feel you」という作品名にあるように、この作品があなたの、誰かを想うきっかけになれば幸いです。

7.アフターコロナの時代、どう変わるでしょうか?
新型コロナの影響で、人と会うことの大切さを日々実感しています。滅多に会えないから会った時は誰かに素直になれたり、思い出が鮮明に記憶されたり。新型コロナで改めて分かった、当たり前だと思っていたけれど大切な気持ちが、アフターコロナは、特別なものではなく普通に伝えられるものになって欲しいと思います。

8.デザインの力で変えることができるか?
変える、と言えるほど支配的なものであるかはわかりません。環境が変わる前、変わった後で、変わるデザインと変わらないデザインがあると思います。しかし、どのデザインもその時の生活に溶け込んでいて、生活はデザインに覆われている。だから、変えるというよりかは寄り添っているのだと思います。

9.今後の夢
作品を製作するようになってから、生活を様々な視点で見るようになりました。おかげで日々の生活の中で幸せと思う瞬間のハードルが下がったように感じます。様々な環境に身を置いて、人と出会い、考え、そして形にする。そんな日常を続けていければと思います。

小林楓太さんの作品の作品を高く評価された Magnus Gustafssonさんは

同じ空間の人とつながることで、外観を変えながら、与えられた環境と相互作用するよう促す、非常にコミュニケーションがとれたプロジェクトです。 人が点をつなげて線を描くたびに、空間は生まれ変わり、作り直されます。この機能性こそが、オリジナリティーをもたらしています。 これらの機能を備えたこのプロジェクトは、ADFミラノサローネデザインアワードの要素を反映しています。 日本の指物はデザイナーの原点への興味深い言及といえますが、このインスタレーションには、その概念的精神をさらに強調するために、再循環または再利用された素材を使用するなど、あらゆるタイプの接続が適用できるかもしれません。
と評価しています。

またPiet Boon氏は
このエントリー作品には、訪問者がさまざまな視点からモノを組み合わせることで、周囲の空間を再考できるようにした興味深い手法があります。さまざまな高さや身体的能力に基づいて、ユーザーにモノの配置の実行可能性を再考させ、与えられた空間の美学と機能性を再現するための無数の可能性を提供しています。 訪問者は、空間のデザインのエージェントです。 コミュニケーションスペースは、なじみのある人や見知らぬ人との情報交換を促します。ユーザーのニーズに対応する流動的、機敏かつ柔軟に適応する構造としての、建築とインテリアデザインの独自の考察です。
とのコメントを添えられました。

つづいて、Gaurav Waliさんです。

1.経歴
Gaurav WaliさんとYashika Munjalさんは、日常のオブジェクトに影響を受けたインドのデザインデュオです。製品デザイン、工芸、材料研究の分野で活動を行っています。デザインの「モノカルチャー」に対抗し、私たちがデザインを理解する中での新しい視点をもたらしたいと考えています。

2.代表的な作品
Outside / Insideは、「容器」、時間、および製品設計の規範の概念で遊ぶ一連の物(オブジェクト)です。 私たちの理解として、物に対する感性は、特定の推定上の制限なしでは理解できないところまで成熟しています。これを念頭に、私たちは最も基本的な物である容器から思考実験を始めました。私たちは自分自身に問いかけました。「あなたは『容器』について何を理解している?それを説明するとしたら、どんなイメージが思い浮かびあがる?そのイメージをどこまで広げることができる?遠すぎるとすればどこまで?」。
「デザイン」するのではなく、松葉の自然な特性を捉えて、身近なものに新しい価値をもたらしたいと考えました。素材をそのまま使用することで、Outside / Insideの自由に流れるフォームは、ユーザーがオブジェクトを使用する独自の解釈を思い付くように促し、好奇心と再発見の感覚を際立たせています。
プロジェクトはこちらからご覧になれます

3.デザインの方針について
デザインを生むプロセスは非常に漸進的です。私たちにとって、期限内に新しいアイデアを生み出すことはできません。アイデアは偶然のひらめきです。そ自然に生まれ、独自の形を作ります。だからこそ、どんなプロジェクトにも時間を費やしたいのです。 観察と探索は私たちの実践の要です。忍耐を持って観察することが、多くのことを明らかにすると信じています。これらの道筋や前後関係がしっくり合わさり、やがてすべてが意味をなし始めることに気が付きます。これが期限内に生じるということはありません。 私たちは、プロダクトデザイナーがするような一般的なスケッチは行いません。あまり刺激にはならないのです。描いた物は、結果として図や落書きのように見えてしまいます。私たちの実践には多くの試行錯誤があります。つまり、100のうち2つの事柄だけが有効といえるのです(私たちの運が良ければ)。時にはアイデアに立ち往生し、途中でそれらを放棄しなければならないこともあります。しかし、このような経験を通して私たちが認識することは、あなたが「継続し続ける」必要があるということです。

4.「ADFミラノサローネデザインアワード」をどこで知りましたか?
"過去の受賞者である太田拓人さんとBoey Wangさんのソーシャルメディアを通じて、ADFについて知りました。

5.この賞についてどう思いましたか?
ADFアワードは、テーマに関する質問をすることで、デザインの次世代の最前線を定義しようとしていると思います。テクノロジーやパンデミック、気候変動の時代にデザインを再定義することは、ドグマの古い構造への挑戦です。 それらの概要から浮かび上がるエントリーは、デザインの未来を具体的な現実に明確に表現します。ADFアワードは思考を刺激し、私たちがデザインについての共通の理解を広げるのを助けます。

6.このプロジェクトについてのあなたの考え
Outside/Insideでは、松林の匂い、そよ風の中で葉が互いにぶつかり合う音、小川の近くに常に集まるあらゆる物、そして特に、季節の儚う美しさなど、ヒマラヤのふもとに住むことの本質をひとつのオブジェクトに捉えようとしました。 このプロジェクトが、3D製品のレンダリングから高密度化されたデザイン業界の環境に、新しい息吹を吹き込むことを願っています。

7.この賞の受賞について
私たちの作品が受賞作品として選ばれたのは、私たちにとって絶対的名誉です。私たちのような若いデザイナーにとって、ADFのような国際的なプラットフォームから認められることで、より自信持ち、私たちの情熱を献身的に追求することができます。

8.COVID後のデザイン業界の将来についてどう思いますか
パンデミックは私たちを滞らせ、あり方を再認識させました。私たちが知っていることはすべてではない、ということを総合的に理解するようになりました。長期的にみて、このことがデザイン業界にどのような影響を与えるかは定かではありませんが、これまでにあった「通常」に戻るには、長い時間がかかりそうです。

9.デザインの力で世界は変わると思いますか?
明確に答えるなら「はい」です。デザインは、私たちが住む現代の必須アイテムを再評価するための、重要なツールであると考えています。それは、複雑なものを単純化し、問題を特定し、世界で受け継がれる多くの問題の根本を解決することができます。気候変動や世界的大流行、孤立などの深刻な問題に取り組むなかで、これらの問題はますます複雑で複雑化しています。私たちはかつてない未来に向かっています。デザインの周期的な冗長性を修正し、優先順位を再考し、デザインが意図的に考慮された消費の新しい言語を作成できる時が来ました。

10.あなたの夢は何ですか?
私たちさえも驚かさせる、純粋で紛れもない根底にある何か、そして息を呑むような何かを作り出すことです。

Gaurav Waliの作品に対する審査員のコメントが以下のように届いています。
KOTA BANDOさん:
マテリアルの良さを引きすシンプルな造形が素晴らしいと思いました。このオブジェクトだけでも洗練され完成されたアート作品として成り立っていると思います。 その上、花を生ける器として、文房具を刺してスタンドとしての機能も持ち合わせていて、違物(花、文具)を掛け合わせることによりそれぞれの表情、意味が変化 することも面白いと思いました。このオブジェクトが時間経過と共に変化していく過程も楽しめるという点も評価しました。 “RE”についての説明は十分されていませんが、木材産業の副産物であろうpine needleを使用することは”RE“の概念に符合するのでは無いかと思います。

Eric Cloughさん:
私はこれを多くのレベルで高く評価しました-提示された写真とグラフィックスは明確で、よくブランド化されていました。 松葉の感覚と匂いが実際に画面から飛び出し、すべてが非常に繊細で正確に感じられました。 オブジェクトの「時間」または寿命、つまり針を新たに摘んだり、しおれたり、乾燥させたりしたときにどのように感じるかについて考えられました。 これが物であろうと単純な植物の装飾であろうと、これの単純さは、森の床を家のあらゆるテーブルの表面のための楽しい(しかし確かに、おそらく一時的な)製品デザインに持ち込むことに私の注意を引きました。


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